2014年09月05日

映画『めぐり逢わせのお弁当』

 『ベニシアさんの四季の庭』『世界の果ての通学路』以来、3回目のシネスイッチ銀座。観客の9割は女性、立ち見も出る盛況です。

 映画には関係ありませんが、最近日本式のお弁当と弁当箱が“BENTO”として海外でも人気らしいですね。


Story
インドのムンバイ。お昼どきになると、弁当配達人“ダッバーワーラー”が慌ただしくオフィス街を巡り、お弁当を配って歩いている。主婦イラ(ニムラト・カウル)は、冷え切った夫の愛情を取り戻そうと、腕を振るった4段重ねのお弁当を、ダッバーワーラーに預ける。ところがそのお弁当は、なぜか見ず知らずの保険会社の会計係サージャン(イルファン・カーン)の元へ誤配されてしまう。妻に先立たれて独り暮らしのサージャンは、故郷のナーシクヘ隠居しようと、35年勤務した会社を早期退職する予定だ。近所の食堂に頼んでいる平凡な仕出し弁当が彼の昼食のはずだったが、誤配された弁当はいつもと違ってとても美味しいものだった。夕方、イラの元に弁当箱が帰ってくる。すっかり空になった弁当箱を見てイラは作戦成功と喜んだものの、帰宅した夫との会話から弁当が見知らぬ誰かに配達されていたことに気付く。だが、イラはその間違いをダッバーワーラーに説くことなく、翌日も弁当を預ける。中にちょっとした手紙を添えて。それに気づいたサージャンも、食べ終わった弁当箱に短いメモを残すようになり、弁当箱を介して2人の交流が始まる。やがてイラは、夫との冷え切った毎日に対する不満を吐露するようになり、サージャンは淡々とそれを受け止める。彼はイラの弁当を待ちわびるようになり、孤独だった心も少しずつ癒されてゆく。サージャンは自分の後任として雇われたシャイク(ナワーズッディーン・シッディーキー)を邪険に扱っていたが、ある昼休み、シャイクにイラの弁当を勧めたことがきっかけとなり、2人の距離は一気に縮まって行く。一方、夫の浮気を疑って沈むイラは、国民総幸福量の高いブータンに一緒に行きたいと手紙で漏らすようになる。やがて求めに応じて名を明かしたサージャンに対して、イラは“私たちは逢うべきだわ”と告げ、待ち合わせの場所と日時を伝えるが・・・。
(Movie Walkerより若干改変)


 インドで、家庭やお店から職場などに弁当を配達する配達人“ダッバーワーラー”を利用する人は20万人もいるそうです。映画で見る限り、日本の運送業のようにシステム化されている感じはしないのですが、ハーバード大学の調査によるとご配達の確率は600万個の1個とのこと。

 さて、ゆるゆると進んでいくこの映画、やはり一種のラブストーリーでしょうか。

 姿を見せないままイラに弁当づくりと人生アドバイスを送る階上のおばさんとの会話、どこかいいかげんで憎めないシャイクとサージャンの会話、ちょっとした仕草や表情、間の取り方など、心憎い演出でほっこりクスクス笑えます。

 イラがサージャンに逢いたいと思い、行動し始めたあたりから、少し雲行きが変わり、物憂げな切ない感じに。

 サージャンが退職を取りやめたりやっぱり退職したり、ナーシクに引っ越したりムンバイに戻ったり、急に場面切り替えが慌ただしくなり、ちょっとついていけませんでした。

 まだ若いイラに逢う直前に、サージャンが急に老いを自覚するところは切ないですが、サージャンを待ち合わせ場所で待ち続けるイラに対して、ここでのサージャンはちょっとずるい。

 この先、2人は出会うことがあるのか、可能性は限りなく低いけど、ひょっとしたら・・・。悪く言えば中途半端な、良く言えば観客に開かれた結末です。

 僕はこの映画の質感がなんとなく好きです。


『めぐり逢わせのお弁当』公式サイト
http://lunchbox-movie.jp/
posted by ふくちゃん at 19:00| 兵庫 ☁| Comment(0) | TrackBack(4) | Cinema Review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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