2014年10月20日

映画『ぶどうのなみだ』

 基本的に“癒しの映画”は好きではありません。結果的に癒されることはあっても、まるで癒すことを目的にしたかのような作品には深みを感じません。

 今回の作品も、私の好きなシンガー・ソングライターの安藤裕子さんが初めて本格的な映像作品に出演するということがなければ観に行っていないと思います。

 もっとも、最近は小田さんと浜省以外の新譜を買うことは無くなりましたが・・・。


Story
アオ(大泉洋)とロク(染谷将太)の兄弟は、父から小麦畑と葡萄の樹を受け継いだ。ピノ・ノワールというぶどうを育て赤ワインの醸造に挑んでいるものの、なかなか思い描くようなものが作れず悩むアオを、ロクは複雑な思いで見ていた。ある日、キャンピングカーに乗ったエリカ(安藤裕子)という女性が現れ、兄弟2人きりの静かだった生活が変化していく。
(Movie Walkerより)


 事前にMovie Walkerの評価投票を見たところ、高評価と低評価が半々の真っ二つでしたが・・・。

 美しい風景、美味しそうな料理。少ないセリフ、時に非リアリスティックな演出。

 こんな素敵な映画を撮りましたという、作り手の自意識と作為を感じる作品でした。

 映画は作為の積み重ねですが、どんなジャンルの映画であっても、それを感じさせてはいけないと思います。セリフも演出もストーリーも全てが“狙い過ぎ”です。

 この作品は「映画のようなもの」であって、映画ではないというのが、僕の感想です。とても気に入った!という方には、申し訳ないのですが。

 安藤さんの曲を主題歌に使って欲しかったなぁ(笑)。


『ぶどうのなみだ』公式サイト
http://budo-namida.asmik-ace.co.jp/
posted by ふくちゃん at 17:08| 兵庫 ☔| Comment(0) | TrackBack(2) | Cinema Review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年10月18日

映画『ジャージー・ボーイズ』

 クリント・イーストウッド監督の新作『ジャージー・ボーイズ』を新宿ピカデリーで。元は同名タイトルの人気ブロードウェイ・ミュージカルです。

 ビートルズ以前、1960年代に世界を席巻した人気グループ、フォーシーズンズの歩みを基にした作品だそうです。ちなみにミュージカル版の音楽を担当しているのは、フォーシーズンズのメンバーだったボブ・ゴーディオとグループのプロデューサーだったボブ・クルー。

 フォーシーズンズという名前は知らなくても『君の瞳に恋している』という邦題の付いた曲(厳密にはグループの曲ではなくメインボーカルのソロ曲)なら、皆さん聞いたことがあるでしょう。僕もそのクチです(笑)。


Story
ニュージャージー州の貧しい地区に生まれたフランキー・ヴァリ(ジョン・ロイド・ヤング)、ボブ・ゴーディオ(エリック・バーゲン)、ニック・マッシ(マイケル・ロメンダ)、トミー・デヴィート(ビンセント・ピアッツァ)。希望のない町に生まれた4人は、自分たちの音楽だけで夢のような成功をつかみ取る。彼らはザ・フォー・シーズンズとして、『シェリー』、『恋はヤセがまん』、『恋のハリキリ・ボーイ』、『悲しき朝焼け』、『悲しきラグ・ドール』、『バイ・バイ・ベイビー』、『愛はまぼろし』、『君の瞳に恋してる』といった数々の名曲をヒットさせ、音楽界に不滅の伝説を打ち立てていく。しかし、そのまばゆいばかりの栄光ゆえに、裏切りと挫折、別離、家族との軋轢といった不幸が彼らを襲う・・・。
(Movie Walkerより)


 ほぼ予備知識なしで観に行きました。

 ミュージカル映画ではありません。音楽好き必見です。

 登場人物たちが突然カメラ目線でナレーションを入れるという演出に最初は面食らいましたが、観ているうちにこれが楽しくなってきます。ミュージカル版でも同様の演出が行われているそうです。

 メインボーカルの声質は僕の好みではありませんが、もちろん上手い。4人のハモリも心地良いです。映画を観ながら、これはレコードをかけての口パクなのか、キャストが本当に歌っているのか、どっちなんだろうと思っていましたが、帰宅して公式サイトのプロダクション・ノートを読んだら、なんと撮影カメラの前で生で歌い、そのまま録音して使っているとのこと。

 驚きましたが、4人中3人がミュージカル版でも同役を演じていたと知り、納得です(メインボーカルのフランキー役ジョン・ロイド・ヤングさんは、現在音楽活動もしているそうです)。

 Wikipediaのフォーシーズンズの項を読むと、本当に紆余曲折、山あり谷ありで、映画は史実に比べると脚色・省略されているようですが、それでもアメリカン・ドリームの光と影、その落差は凄まじいですね。

 アマチュア時代からグループを主導し、犯罪にも手を染めてきたやんちゃなトミーと彼に誘われるまではどちらかといえば冴えない青年だったフランキーの愛憎と友情の描き方もいい。

 当人や周囲の人たちは大変だったでしょうが。

 青春映画の佳作です。

 こういう映画が日米ともヒットしないなんて映画ファンはどこに目をつけてるんだ。。。

 とか言ってみたりして。ですが、僕が参照する映画ブロガーの皆さんは軒並み高評価で、嬉しく思いました。

 ここからネタバレです。


 映画はグループが崩壊して、メンバーのゴーディオとプロデューサーのクルーの共作『君の瞳に恋してる』をフランキーがソロで歌いヒットを飛ばした1967年(この曲が最初はレコード会社から見向きもされなかったことが不思議)から、一気に1990年に飛んで、結成時のオリジナルメンバー4人によるフォーシーズンズがロックの殿堂入りで再会して歌うところで終わります。

 老け顔メイクが完璧(笑)。

 そして、エンドロールでは、全ての出演者による歌とダンス(『舞妓はレディ』と同じだ!)。

 クリント・イーストウッド御大は、御年84歳。こんな粋な映画を撮るなんて、まだまだ若々しい感性の持ち主ですね。

 ちなみに、フランキー氏は現在80歳。ゴーディオ氏と共に、この映画の製作総指揮に名を連ね、現在も世界各国でコンサートを開いているそうで、最近にもこの映画に合わせて日本でも初めてライブを開催したようです。凄い。


『ジャージー・ボーイズ』公式サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/jerseyboys/
posted by ふくちゃん at 21:54| 兵庫 ☀| Comment(0) | TrackBack(16) | Cinema Review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年10月15日

映画『蜩ノ記』

 10月4日(土)から公開の『蜩ノ記』を新宿ピカデリーで。

 しかし、公開10日で早くも小さなシアター8(157席)ですか。ひょっとして当初からこの程度?先日の『柘榴坂の仇討』といい、人気俳優を起用しても時代劇は厳しいですね。例外は『るろ剣』だけか。


Story
些細なことからやむを得ず刃傷沙汰を起こしてしまったものの、家老・中根兵右衛門(串田和美)の温情により切腹を免れた檀野庄三郎(岡田准一)は、山の上の村に幽閉中の元郡奉行・戸田秋谷(役所広司)の監視役を命じられる。秋谷は藩主の側室との不義密通および小姓を斬り捨てた嫌疑により、事件から10年後、今から3年後の切腹とそれまでの間に藩の歴史である藩主・三浦家の家譜の編纂・完成を命じられていたのだ。庄三郎の役目は、家譜編纂を通じて藩の秘事を知る秋谷が不義密通事件を家譜にどう書くか監視・報告し、切腹間近の秋谷が逃亡のそぶりを見せた場合には妻子ともども始末するというものだった。はじめは秋谷のことを懐疑的に見る庄三郎だったが、編纂途中の三浦家譜と『蜩ノ記』と名づけられた秋谷の日記には、前藩主の言葉に忠実に事実を事実のまま書き留め、一日一日を誠実に大切にして生きる彼の姿があり、感銘を受ける。そして、秋谷やその妻・織江(原田美枝子)、娘・薫(堀北真希)、息子・郁太郎(吉田晴登)らとともに暮らす中で、秋谷の無実を確信し、薫との間には恋が芽生えていた。やがて庄三郎は不義密通事件の真相に辿り着き、事件の謎を解く文書を入手するが、そこには藩を揺るがすようなことが記されていた。庄三郎は秋谷の命を救おうとするが・・・。
(Movie Walkerより改変)


 前半はなんかぎこちないというか、流れが良くない感じでしたが、秋谷が住む村の農民たちと藩の役人の間に不穏な空気が流れ、遂には息子・郁太郎が親友の少年(健気で明るい素晴らしい子)を失うたあたりからは良かったです。

 権勢を奮う家老に立ち向かう郁太郎も、それに助勢する庄三郎も、2人を取り戻しにやってくる秋谷も・・・義を見てせざるは勇無きなり・・・頻繁に登場するこの言葉を体現していて感動的です。

 秋谷に寄せる妻・娘・息子、それぞれの想いにも、感じ入るものがあります。こんな家族、今の日本にはもういないのでは(笑)。時代劇だから見せられるファンタジーです(褒めてる)。

 原作の家老は良くも悪くももっと奥深い存在として描かれています。そこが残念。


『蜩ノ記』公式サイト
http://higurashinoki.jp/
posted by ふくちゃん at 20:53| 兵庫 ☁| Comment(0) | TrackBack(8) | Cinema Review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年10月12日

映画『宇宙戦艦ヤマト2199 追憶の航海』

 先行劇場公開バージョン全7章≒TVシリーズ全26話を約2時間にまとめた『宇宙戦艦ヤマト2199』総集編バージョンを新宿ピカデリーで。

 『るろうに剣心』と同じ入退場時間で劇場は大混雑。向こうは超満員かもしれませんが、こちらは8割程度の入りか。

 新作ではないので、アニメブームの端緒を開いた旧作劇場版第1作のような大ヒットは厳しいでしょう(旧作劇場版も低視聴率に終わったTVシリーズの総集編だったわけですが)。3週間のイベント上映ですし。

 でも、2199初期に比べると客層が広がったなと改めて実感しました。最初の頃は40代以上の親父率が高かったのに。


Story
西暦2199年。人類は絶望の淵に立たされていた。外宇宙から襲来した謎の星間国家ガミラスによる遊星爆弾により地球は壊滅的な被害を負い、人類滅亡までの猶予はわずか1年。残された最後の希望は、ガミラスの攻撃によって汚染された地球を浄化再生するシステム“コスモリバースシステム”であった。人類初の恒星間航行が可能となった宇宙戦艦ヤマトは、人類の命運を懸け、16万8千光年の彼方にあるイスカンダルへと旅立つ・・・。
(Movie Walkerより)


 旧作劇場版もそうだったと思いますが、膨大なエピソードを2時間に全て収めるのは当然無理なわけで、取捨選択が行われます。

 今回も相当の苦労があったと思いますが、どうしても駆け足の展開で、登場人物の心情、人間関係の機微などの描写は、ほとんど欠落してしまいます。

 ちょっと味気ない。

 そういう意味では、いちばん良かったのは登場人物たちのその後を描いた、むらかわみちおさんのエンドロール用のイラストかな(笑)。

 でも、ガミラス本星での波動砲、古代と雪の宇宙空間での再会シーンは何回見ても、2199屈指の名シーンです。どういうわけか、毎回絶対に僕の涙腺が刺激されます。

 さあ、次は12月の完全新作劇場版『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』。楽しみです。


『宇宙戦艦ヤマト2199』公式サイト
http://yamato2199.net/
posted by ふくちゃん at 19:15| 兵庫 ☁| Comment(0) | TrackBack(3) | Cinema Review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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