2006年03月23日

Recommended Book 梨木香歩「西の魔女が死んだ」

 今日は、かなやんさんが以前にコメントで推薦して下さった小説です。


梨木香歩「西の魔女が死んだ」(新潮文庫)

 中学校入学後、クラス内でのグループづくりとか、グループとグループの関係とか、そういった思春期独特の人間関係に疲れて、登校拒否気味の少女まい。学校をしばらく休んで「西の魔女」、すなわち大好きなおばあちゃんのもとで暮らすことに。

 自然に囲まれたおばあちゃんとの生活の中で「魔女修行」をしながら、少しずつまいが回復していく姿が描かれます。

 「魔女修行」とは、「精神力」=「正しい方向をきちんとキャッチするアンテナをしっかり立てて、身体と心がそれをしっかり受け止める力」をつけるためのトレーニング。

 その内容は、早寝早起き、適切な食事と運動、規則正しい生活。そして、それら(何時に寝て何時に起きるか、いつ何をして過ごすか)を含めて、何事も自分で考え、自分の意志で決めて、守るようにすること。

 一見簡単に見えて、実は難しい「『意志の力』を身につける」ということを、おばあちゃんの導きを受けつつ、まいが実践しながら成長していく・・・これがおばあちゃんの「魔法」なのです。


 おばあちゃんの言葉の中には、印象深いものがいろいろあります。

「ありがたいことに、生まれつき意志の力が弱くても、少しずつ強くなれますよ。少しずつ長い時間をかけて、だんだんに強くしていけばね。生まれつき、体力のあまりない人でも、そうやって体力をつけていくようにね。最初は何にも変わらないように思います。そしてだんだんに疑いの心や、怠け心、あきらめ、投げやりな気持ちが出てきます。それに打ち勝って、ただ黙々と続けるのです。そうして、もう何も永久に変わらないんじゃないかと思われるころ、ようやく、以前の自分とは違う自分を発見するような出来事が起こるでしょう。(後略)」


 おばあちゃんとの生活の中である事件が起こって、まいが不安に感じたときには、

「だって、その声は、まいが心から聞きたいと願ったものではなかったのでしょう。そういう一見不思議な体験を後生大事にすると、次から次へそういうものに振り回されることになりますよ。けれども不必要に怖がることはありません。それも反応していることになりますからね。ただこうべを高く挙げて」
と言って、おばあちゃんはおとがいをあげた。
「無視するんです。上等の魔女は外からの刺激には決して動揺しません」


 登校拒否に陥った原因について、まいがおばあちゃんに説明して、「わたし、やっぱり弱かったと思う。一匹狼で突っ張る強さを養うか、群れで生きる楽さを選ぶか・・・」と語ったときには、

「その時々で決めたらどうですか。自分が楽に生きられる場所を求めたからといって、後ろめたく思う必要はありませんよ。サボテンは水の中に生える必要はないし、蓮の花は空中では咲かない。シロクマがハワイより北極で生きるほうを選んだからといって、だれがシロクマを責めますか」


 もともとは児童文学として書かれた作品ですが、児童文学の中にも大人の鑑賞に堪えられる優れた作品がたくさんあります(と偉そうに言えるほど読んでいませんがわーい(嬉しい顔))。

 しかし、こういう言い方は、子どもに失礼かもしれませんね。子どもの鑑賞力が大人を下回るわけではありませんから。

 ともかく、とても美しい小説ですぴかぴか(新しい)

posted by ふくちゃん at 23:17| 兵庫 ☔| Comment(14) | TrackBack(0) | Recommended Book | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
まるで少女のように
純真無垢に進もうとしても
躓くことがある…

垢まみれになった大人でも
少女のように進めるだろうか…

むしろ
少女より余計なものを覚えて
躓きやすくなっていないだろうか…

置かれた状況に振り回されることなく
ひとり進むことは少女にとっても
困難な道かもしれないが
垢まみれになった大人には
それすらできない…

そんな閉塞感を打破するために
朝陽は昇る…
そう信じて明日を迎えたい
Posted by VivaLaRaza at 2006年03月24日 23:53
>VivaLaRazaさん。

詩人?
Posted by ふくちゃん at 2006年03月25日 00:47
まるで少年のように
1G連しようとしても
気づけば7G目

動体視力の落ちた大人でも
目押しはできるだろうか・・・

座った台にのまれることなく
天国ループすることは少年にとっても
困難な道かもしれないが
チャンス目を知らない大人には
それすらできない・・・

そんな閉塞感を打破するために
ぶん回す・・・
きっと出る
万枚を信じて新台を迎えたい
Posted by 星 明子 at 2006年03月26日 08:37
>星明子さん。

吟遊スロット詩人??
Posted by ふくちゃん at 2006年03月26日 13:26
あっ、ここは…!?

…うふふ
Posted by 橘 ルミ at 2006年03月26日 13:28
銀玉の動きに惑わされ、
自らを見失いがちになってしまった時、
人はストレスとともに快感を感じる…

新たな盤面を迎えると
春を迎えたようなときめきに陥り、
しばし時を忘れる…

しかし終わりの時はスグそこに…
終わりは常に悲しみとともにやってくる
Posted by Mr.Prison at 2006年03月26日 22:57
>橘ルミさん。
ひょっとして「巨人の星」の・・・?

>Mr.Prisonさん。
吟遊パチンコ詩人?
Posted by ふくちゃん at 2006年03月27日 23:39

はい、オーロラ三人娘
のルミです☆
飛雄馬が初めて付き合った
女性です。

さすがふくちゃんさん、
あらゆる分野に精通していらっしゃい
ますね!!
Posted by 橘 ルミ at 2006年03月28日 09:19
ふくちゃんさん、読んで下さったんですね。書いてくださった感想も、かなやん、とっても嬉しいです。
VivaLaRazaさんも詩人ですね〜。
今日もがんばろうという気持ちが湧いてくる詩ですね。

まいのように登校拒否までは行かなくとも、子供の頃に誰でも同じような葛藤を
感じた事があるものだと思います。
そういうところに共感を得られますし、
まいがおばあちゃんの大きな愛情に包まれていることがとても伝わってきてあったかい気持ちになれますよね。

とにもかくにも、読んでくださって、
本当に有難うございます☆

そして、その後のレスの星さん、ルミさん
おもしろすぎです!!ナイスです!!

Posted by かなやん at 2006年03月30日 14:01
>かなやんさん。
ご無沙汰です。
お元気でしょうか(^^)?
また何か紹介して下さい。
Posted by ふくちゃん at 2006年03月30日 23:32
えーと、ご紹介と言うか、
逆に、ふくちゃんさんに教えてもらおうと
思っていたのですが、
村上春樹作品でオススメを教えてほしいのです。「ノルウェイの森」しか読んだことがなく、あまりにヒット作ばかりなので
目移りしてしまって次にどれを読んだらいいか迷っているのです。
Posted by かなやん at 2006年03月31日 18:43
>かなやんさん。
僕がいちばん好きなのは「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」です。
デビュー作の「風の歌を聴け」もいいかな。
そして、このほかにも、いずれ当ブログで紹介しようと決めているものが・・・。
Posted by ふくちゃん at 2006年04月01日 00:08
有難うございます。
今度、本屋に行って探します☆☆

今、春樹作品は海外でも大変なブーム
なんですってね!
Posted by かなやん at 2006年04月03日 16:14
>かなやんさん。
良かったら、村上春樹のエッセイもどうぞ。
脱力系の「村上朝日堂」シリーズや旅行記モノ(「雨天炎天」「遠い太鼓」)など、小説からは想像できない、違った面白さですよ。
Posted by ふくちゃん at 2006年04月04日 00:24
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