Story
ホンジュラスで暮らす少女サイラの元に、長く別居していた父がアメリカから強制送還で戻ってきた。再びアメリカに渡るつもりの父の誘いで、サイラは未来のないこの地を捨て、叔父も交えた3人でアメリカに行き、父の今の家族と一緒に暮らすことを決める。だがそれは、グアテマラとメキシコを経由する長く危険な不法入国の旅だった。なんとかメキシコ・チアパス州まで辿り着いたサイラたちは、アメリカ行きの列車の屋根に乗り込む。そこには、同じようにアメリカを目指す移民たちがひしめきあっていた。ほっとしたのも束の間、ギャングのリーダー・リルマゴが、カスペル、スマイリーの2人を引き連れ、移民たちのなけなしの金品を強奪。さらにリルマゴは、泣き叫ぶサイラに銃をつきつけて暴行しようとする。しかし、つい最近、リマルゴに暴行されそうになって抵抗したために亡くなった自分の恋人を悼んでいたカスペルは、手にしていた鉈でリルマゴを殺す。組織を裏切ったカスペルは、まだ幼いスマイリーを帰らせ、自分は列車にとどまって旅を続ける。サイラはカスペルに恩を感じ、淡い恋心を抱くようになるが、いつかは追っ手によって殺されると覚悟しているカスペルは戸惑う。ある朝、彼はこっそり1人で列車を降りるが、サイラは父に黙って彼の後を追ってくる。しかたなく彼女を連れてかつての仕事仲間の家に向かったカスペルは、車両運搬の積荷に紛れて国境の町へ向かう手はずを整えてもらう。目的地への途中、列車で一緒だった男から、サイラの父が国境巡視隊に見つかり列車から転落死したことを知らされる。悲しむサイラをカスペルがそっと慰める。遂に2人は、川を越えてアメリカへ渡ることのできる場所にやって来た。「何が何でも家族を見つけろ」というカスペルの励ましを受け、川に足を踏み入れるサイラ。カスペルが川岸で見守る中、渡し人の先導で泳ぎだしたサイラだが、ギャングの追っ手が現われる・・・。
(Movie Walkerより改変)
知らない俳優さんばかりなので、映画というよりドキュメントのようにも見えます。登場するギャングは実在らしいし。少々、嫌なシーンもあります。
途中で挿入される中南米の自然は美しく、苛酷な人間世界との対比が鮮やかです。
なぜ、あれだけ多くの移民が、アメリカに幻想を抱いてはいないのに、それでも危険を冒してアメリカを目指すのか。なぜ、中南米の若者がギャングを結成して、犯罪や抗争を重ねるのか。中南米の政治や経済、生活の現実をほとんど知らないので、そこを含めて、無知な僕にも背景が分かるように描いてもらえたら、もっと胸に迫るものがあったんでしょうけど・・・。
サイラは無事にアメリカに渡りましたが、映画としてはハッピーエンドでもあるし、アン・ハッピーエンドでもあります。しかしながら、『スラムドッグ$ミリオネア』やこの映画に、一種の前向きなファンタジーを感じたり、期待したりする自分は、平和ボケですね・・・。
『闇の列車、光の旅』公式サイト
http://www.yami-hikari.com/