
Story
ロボット・プラモデル・オタクのレイ(アレックス・ハウス)は、誰とも深く関わらないことを信条に、企業の研究室に勤務している。ところが、母親の葬儀の直後、ひとり暮らしのアパートから火事で焼け出され、実家に戻るはめに。そこには、ピアニストとして嘱望されていたにも関わらず、今はパニック障害で引きこもりの兄モーリー(デイヴィッド・レンドル)、勝気な大学生の妹リサ(タチアナ・マズラニー)、猫の“センセー”、そして“ばーちゃん”(もたいまさこ)が暮らしていた。ばーちゃんは、母親が亡くなる直前に日本から呼び寄せた3人の祖母。英語が全く話せないばーちゃんは自室にこもりきりで、トイレから出てくるたびに深いため息をつく。そんなある日、母親の古いミシンを見つけたモーリーは「布を買いに行きたいが金が無い」と、ばーちゃんに訴える。一歩踏み出そうとする彼に、ばーちゃんは無言で札束を差し出す。一方、エアギターのコンテスト番組に見入るばーちゃんを見たリサは、自分もコンテストに出ようと決意。そのための資金をばーちゃんはまたも気前よく無言で出してくれた。次々と予測不可能なことをやらかす3人に、レイの平穏な日常は破られ、ついにキレてしまうが、ばーちゃんはそんなレイのために母親もよく作っていたという餃子を焼いてやるのだった。やがて、もう一度モーリーがピアノ・コンクールに出場する日がやって来た。お手製の花柄のスカートをはいたモーリーがステージに登場すると、客席にざわめきが起きる。4年前、コンクールの演奏途中で緊張のあまり吐いたことが障害の引き金となったモーリーだが、今回もまたステージの上で、パニック寸前に。そのとき、ばーちゃんが立ち上がり・・・。
(Movie Walkerより改変)
何が驚いたって、もたいまさこさんが全く喋らない。口がきけないという設定ではなく、英語を解さないという設定のせい、そして娘(=3兄弟の母)を亡くして意気消沈しているせいでもありますが・・・。セリフは終盤の二言だけ。しかも、特別な言葉ではありません。
その無言っぷりが、徐々に面白くなってきます。孫たちに送る視線、トイレから出るだびに吐くため息。それだけで笑える。
バラバラになってしまっていた3兄弟が、ばーちゃんとの関わりの中で(しかも言葉ではほとんどコミュニケーションできないのに)、なぜか繋がりを取り戻していく様が、不可思議な説得力を持って描かれます。
「論理」ではなく「空気」で。
モーリーがミシンでスカートを縫い、そのスカートを愛用することで、彼の回復が促されるのはなぜなんだろう?
よく分からないけど(「こう生きなければならないという縛りからの解放」ということなのかな)、別にいいんです。「欲求に理由を付けるのは無意味だ」というセリフもあるし。
この空気感、最高です。今年のイチバンです。
『トイレット』公式サイト
http://www.cinemacafe.net/official/toilet-movie/
先日、またまたV.O.Dで映画鑑賞。『戦場でワルツを』です。日本のアニメとはまた違う色彩・質感に魅了されました。重い話ですが、オススメです。
「この空気感、最高です。今年のイチバンです。」に全く同感です。
荻上監督すばらし〜って、改めて感じる作品でしたね。
私の記憶違いだったかもしれませんが、あのスカートの生地は写真に残っているお母さんの着ていた洋服の余り布だったと思います。
兄からの一言も爆笑もんでした。笑いのツボ、上質な脚本、すっかり虜です。
お時間があれば、ですが。私のブログの感想はちょっと前のなんです。カテゴリーから見てもらえればと付け加えます。
コメントありがとうございます。
荻上監督の「かもめ食堂」が大好きで、DVDを持っています。そういう人は多いでしょうけど(笑)。次回作が楽しみです。