2011年02月09日

映画『ヤコブへの手紙』

 先日、観たい邦画が今ほとんどないと書きましたが(興味があるのは『冷たい熱帯魚』ぐらい)、今日もまたミニシアター系洋画を、テアトル梅田で。『ヤコブへの手紙』、75分のフィランド映画です。

 鑑賞の前後には、劇場近くの「チャスカ茶屋町」(マンション&ホテル/安藤忠雄氏設計)の地下1階〜7階、12月にオープンしたばかりの日本最大級の書店「MARUZEN&ジュンク堂」に初めて行きました。“2060坪、200万冊の品揃え”ということですが、ワンフロアごとの大きさはそれほどでもなく、デカイ!という実感が湧きませんね。専門書など他の書店にあまり置いてないものが充実しているそうですが、一般書の品揃えは普通の感じですね。


Story
1970年代のフィンランド。終身刑で服役していたレイラは模範囚として恩赦を受け、12年間暮らした刑務所から釈放される。唯一の身寄りである姉の下にも行けない彼女は、不本意ながら、刑務所で紹介された老牧師の家に住み込みで働くことに。仕事は盲目の牧師ヤコブのために、毎日届く手紙を読み、ヤコブの言葉に従って返事を代筆するだけ。郵便配達人が自転車で届ける手紙には、些細なことから誰にも打ち明けられないことまで、様々な悩みが書かれていた。ヤコブは、その1つ1つに聖書の言葉を引用しつつ、丁寧に返事の文面を語る。相談者の心の拠り所がなくならないように、別の土地に用意された立派な家に引っ越すこともなく、雨漏りのする家に住み続けるヤコブ。レイラは、ヤコブも、古い家も、手紙の仕事も、郵便配達人のことも好きになれず、届いた手紙の一部を勝手に捨ててしまう。やがて、毎日届いていた手紙が、本当に全く届かなくなる。それが生きがいとなっていたヤコブは、すっかり気を落とし、憔悴する。ヤコブと出かけた教会で、彼の哀れな姿に苛立ったレイラは、ヤコブを残したまま家に戻り、荷物をまとめてタクシーに乗り込む。が、行くべき場所がないことに気づき、絶望して自ら命を絶とうとする。そこへ戻ってきたヤコブ。「まだ、この家に居てくれたんだね」という何気ない一言がレイラの心を開く。その後も相変わらず手紙は届かない。しかし、ある日レイラは手紙が届いたとヤコブに告げ、自らの過去を語り始める・・・。
(Movie Walkerより改変)


 あっという間の短い映画。主要登場人物は、ヤコブ、レイラ、郵便配達人の3人だけ。冒険も恋も笑いない。美男・美女もいない。地味な小品です。

 正直、前半は少し眠気が。

 完全に心を閉ざし、ヤコブには「自己満足のために自分の恩赦を願うなんて余計なことをしてくれた」と毒づくレイラ。そんな彼女の心が開き始めたあたりから、クライマックス(といっても地味です)の告白までは、良かったです。恩赦を願ってくれたのは本当は誰だったのか、ヤコブはそこにどう絡んでいるのか・・・想像がつく展開ですけど、心温まる話です(観客の中には、啜り泣く方もいました)。

 他の誰かに必要とされていると感じられてこそ、人は生きていけるということを凝縮した作品だと思います。レイラだけでなく、ヤコブもまた、手紙の差出人を励ましていたつもりが、差出人に必要とされていることが、生きる希望だったのです。

 ラスト・シーンについては、先日の『君を想って海をゆく』と違って、この作品こそ、完全なハッピーエンドにして欲しかったという気がします。別人のように、穏やかになったレイラの表情に、希望は見えますけど。


『ヤコブへの手紙』公式サイト
http://www.alcine-terran.com/tegami/


posted by ふくちゃん at 19:58| 兵庫 ☔| Comment(0) | TrackBack(4) | Cinema Review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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