
Story
花嫁を圧倒するような美しい純白のドレス姿で、新郎新婦を唖然とさせる翔子(中谷美紀)。会社の同僚でもある婚約者を後輩OLに寝取られた彼女が、別れ話を承諾する条件として2人に提示したのが結婚式への出席だったのだ。新郎新婦への復讐を果たし、披露宴会場を後にした翔子。帰宅途中の電車で好奇の視線を集める彼女に、孫の亜美(芦田愛菜)を連れた時江(宮本信子)が「討ち入りはうまくいったの?」と声をかけてくる。全てを見通すような老婦人の言葉は、傷ついた翔子を癒してくれるのだった。
女子大生ミサ(戸田恵梨香)の悩みは、恋人カツヤ(小柳友)のDV。2人で同棲するための物件を見に行く途中、電車に乗り合わせたドレス姿の翔子のことを話しているうちに口論となり、カツヤが降りてしまう。それを見ていた時江の「くだらない男ね。止めた方がいいわよ」という言葉で、ミサは別れを決意する。
セレブ気取りの奥様グループに渋々付き合っている普通の主婦の康江(南果歩)。今日も高級レストランでのランチに誘われ出かける。電車内で傍若無人に振舞う奥様グループに肩身の狭い思いをしていた康江は、「おばちゃんってサイテー」という、ミサの厳しい言葉を耳にして、グループと同行のたびに起こる胃痛が急に悪化してしまう。その様子を見かねて一緒に途中下車した駅で、本音を語る康江を励ますミサ。
地方出身で都会の雰囲気に馴染めない大学生の権田原美帆(谷村美月)と圭一(勝地涼)。ある日、電車の中で出会った2人の距離は、ひょんなことから近づいて・・・。大学受験を控えた女子高生の悦子(有村架純)は、人はいいがアホな社会人の竜太(玉山鉄二)と付き合っている。下校時の電車内で友人たちから進展状況を問い詰められるが、受験が終わるまではとお互いにプラトニックな関係を保ち続けていた。だがある日、高校の担任から第1志望の大学は難しいと言われ、自暴自棄になった悦子は竜太をラブホテルに誘うが・・・。
片道15分のローカル線・阪急今津線を舞台にしたささやかな日常の群像劇。
本当は13:50の回の座席を会員予約するつもりで、昨日の午後に電話を入れたら「もう予約用の席はいっぱいです」と言われ(こんなこと初めて)、夕方からは出かける用事があるので9:20の回にしました。で、その回もロビーには行列ができて、あっという間にチケット完売でした。
今までシネ・ピピアを訪れた中で、いちばんの盛況かも。劇場にとって、とても良いこと(忙しくて大変そうですが)。さすが地元・宝塚が舞台の映画だ。盛り上がって欲しいなぁ。
ただ、感想としては、原作を読んで危惧していた通りの作品でした。大勢の登場人物のエピソードの羅列になってしまっています。ひとつひとつのエピソードは決して悪くない。それぞれのエピソードの主人公たちも徐々に絡んでくる。でも、やはり散漫な印象は否めません。
小説なら最後に全てのエピソードを繋げる話があっても、またそういうオチをつけずに個々のエピソードの並列だけで終わっても、どちらでも良いと思いますが、映画というパッケージで魅せるには、多少のリアリティは犠牲にしても前者のタイプに持っていかないとカタルシスがないですね。
もしくはメインのエピソードを1つ決めて、他を枝葉にして、もっと起伏を付けるか。
群像劇って難しい・・・。
でも、日頃、眼にしている日常の場所がスクリーンに映し出されるって、なかなか楽しいですね。
〔4月29日追記〕
他のブロガーさんの評価は、高めです。僕の感想は異端かも。
『阪急電車 片道15分の奇跡』公式サイト
http://hankyudensha-movie.com/