2013年11月25日

映画『かぐや姫の物語』

 新宿ピカデリーにて『かぐや姫の物語』を鑑賞してきました。各回最大客席数の1番シアター(580席)での上映ですが、なぜか唯一小さな5番シアター(157席)で上映している11:40の回で。月曜日の午前中ですが、そこそこの入りでした。

 元々は興味のない作品でした。『風立ちぬ』では少々がっかりしましたし、今さら「かぐや姫(竹取物語)」と言われてもなぁ・・・と。

 予告編や広告ビジュアルにもピンと来ず、食指は動きませんでした。

 でも、「なぜ、かぐや姫が地球に来て、再び月に帰らなければならないのか。かぐや姫が、罰として地球に送り込まれることになった罪とは何なのか」− 原作では明確に描かれていないその“真相”に、高畑監督が50年以上も前に思い至っていたこと、それが今回の映画化に繋がったこと、原作の“かぐや姫”を感情移入できる生き生きとしたキャラクタに描き換えたこと・・・などを知り、興味が湧きました。

 宣伝、上手いな(笑)。


Story
竹から出てきたかぐや姫が美しく成長し、男性たちからの求婚をかわし、やがて月に帰っていく様を綴った『竹取物語』。日本最古の物語と言われている『竹取物語』を題材に、姫が犯した罪と罰を描く。
(Movie Walkerより)


 感想をまず一言で表せば、「なんだか、すごいものを観た」です。

 残念ながら、僕が興味を抱いた「かぐや姫が地球に送り込まれることになった罪とは何なのか」は詳細には描かれていませんでした。公式サイトの「監督の言葉」にあるように、そのエピソードはカットされたのです(パンフレットには、50年前に考え付いた、その着想が詳しく書かれています)。

 このエピソードを入れた方が、“姫の犯した罪と罰”というキャッチコピーの意味がより明確になったのでは?・・・と思います。

 でも、とにかく素晴らしい。

 特に、絵。このタッチと映像は、今まで観てきたどんなアニメとも違います。手書きの温かさがあり、淡い水彩画のようでありながら、色彩に富んで、生命感に溢れている。

 音楽、唄、音響、効果、声の演技と相まった素晴らしい(語彙が貧困だなぁ・・・)総合芸術を、片時も目を離さず、かじりついて観ていました。

 高畑勲、すげぇ!・・・と感嘆しながら(スタッフの力も大きいはずですが)。

 ジブリ作品に限らず、俳優さんがアニメの声を当てると、どうも棒読み読みというか、感情の籠らない感じがすることが多いのですが、それも皆無。アフレコではなく、プレスコ(先に台詞を録音してから、それに合わせて映像をつくる手法)だからでしょうか。とりわけ、翁役の故・地井武男さんの演技が印象的です。

 “かぐや姫”も、原作にはない幼少時代の描写を付加することで、監督の意図する通り、感情移入できる存在になっていました。

 主題歌も余韻があって、作品の世界観にピッタリです。

 当然ながら、感性は人それぞれ。僕とは全く異なる感想を持つ方もいるでしょう。でも、観るかどうか迷っている方には、「とりあえず観ろ!」と薦めたい作品です。


『かぐや姫の物語』公式サイト
http://kaguyahime-monogatari.jp/


 今日16:00から限定発売の『宇宙戦艦ヤマト2199第七章BD・DVDバージョン上映会』(新宿ピカデリー12/8(日)20:30〜23:00)のチケットも辛うじて取れたし、今読んでいる小説『蜩の記』もなかなか良いし、充実した休日となりました。
posted by ふくちゃん at 17:47| 兵庫 ☔| Comment(0) | TrackBack(14) | Cinema Review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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