元々は興味のない作品でした。『風立ちぬ』では少々がっかりしましたし、今さら「かぐや姫(竹取物語)」と言われてもなぁ・・・と。
予告編や広告ビジュアルにもピンと来ず、食指は動きませんでした。
でも、「なぜ、かぐや姫が地球に来て、再び月に帰らなければならないのか。かぐや姫が、罰として地球に送り込まれることになった罪とは何なのか」− 原作では明確に描かれていないその“真相”に、高畑監督が50年以上も前に思い至っていたこと、それが今回の映画化に繋がったこと、原作の“かぐや姫”を感情移入できる生き生きとしたキャラクタに描き換えたこと・・・などを知り、興味が湧きました。
宣伝、上手いな(笑)。
Story
竹から出てきたかぐや姫が美しく成長し、男性たちからの求婚をかわし、やがて月に帰っていく様を綴った『竹取物語』。日本最古の物語と言われている『竹取物語』を題材に、姫が犯した罪と罰を描く。
(Movie Walkerより)
感想をまず一言で表せば、「なんだか、すごいものを観た」です。
残念ながら、僕が興味を抱いた「かぐや姫が地球に送り込まれることになった罪とは何なのか」は詳細には描かれていませんでした。公式サイトの「監督の言葉」にあるように、そのエピソードはカットされたのです(パンフレットには、50年前に考え付いた、その着想が詳しく書かれています)。
このエピソードを入れた方が、“姫の犯した罪と罰”というキャッチコピーの意味がより明確になったのでは?・・・と思います。
でも、とにかく素晴らしい。
特に、絵。このタッチと映像は、今まで観てきたどんなアニメとも違います。手書きの温かさがあり、淡い水彩画のようでありながら、色彩に富んで、生命感に溢れている。
音楽、唄、音響、効果、声の演技と相まった素晴らしい(語彙が貧困だなぁ・・・)総合芸術を、片時も目を離さず、かじりついて観ていました。
高畑勲、すげぇ!・・・と感嘆しながら(スタッフの力も大きいはずですが)。
ジブリ作品に限らず、俳優さんがアニメの声を当てると、どうも棒読み読みというか、感情の籠らない感じがすることが多いのですが、それも皆無。アフレコではなく、プレスコ(先に台詞を録音してから、それに合わせて映像をつくる手法)だからでしょうか。とりわけ、翁役の故・地井武男さんの演技が印象的です。
“かぐや姫”も、原作にはない幼少時代の描写を付加することで、監督の意図する通り、感情移入できる存在になっていました。
主題歌も余韻があって、作品の世界観にピッタリです。
当然ながら、感性は人それぞれ。僕とは全く異なる感想を持つ方もいるでしょう。でも、観るかどうか迷っている方には、「とりあえず観ろ!」と薦めたい作品です。
『かぐや姫の物語』公式サイト
http://kaguyahime-monogatari.jp/
今日16:00から限定発売の『宇宙戦艦ヤマト2199第七章BD・DVDバージョン上映会』(新宿ピカデリー12/8(日)20:30〜23:00)のチケットも辛うじて取れたし、今読んでいる小説『蜩の記』もなかなか良いし、充実した休日となりました。